若者論を研究するブログ

打ち捨てられた知性の墓場

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レスバトルまとめ

匿名掲示板が瀕死の状態で避難所の過去ログも残りそうにないのでこれからはレスバトルの記録をブログに保存しておこうと思います。最終的にクッソ長大になりそうなので各レスバは折りたたんでいます。 2023_10_29_日本人の知能について再び レスバをする気は…

摩訶不思議アドベンチャー

https://chintama2022.hatenablog.com/entry/2023/09/27/144138 どうやら同一記事・コメント内における二回目以降のidコールは機能しないようなので、申し訳ありませんがこちらのブログから通知させていただきます。以下、id:opnihcさんのコメントに対する私…

氷河期世代の不遇について

「氷河期世代」という人格的な実体が存在するとは思いませんが「自分は氷河期世代だ」と宣う人は実在するのでその意を汲んで彼らを氷河期世代と称することにします(面倒くさい前置き)。 大学受験が熾烈を極めた氷河期世代 同世代の人数がとにかく多い。つ…

学校行ってもちゃんと勉強しないとダメよねー、というお話

cruel.hatenablog.com で、この研究者たちは、就学年数とかじゃなくて、実際に能力テストをやってそれとの相関を見てみたらどうだろうか、というのをやった。それが以下の図。 正確に言うとこのグラフは相関ではなく偏回帰プロット(added-value plot)です…

日本行動嗜癖学会の学会声明についてのメモ

(※末尾にブコメへの返信を追記しました)「日本行動嗜癖学会(JSSBA)」の学会声明についてのメモです。「日本嗜癖行動学会(JSSAB)」は関係ありません。ちなみに、後者は1990年に精神科医の斎藤学氏を中心として設立された学会だそうで*1、年2回刊の会誌…

「片親パン」の流行について

TikTokのAPIはよくわからないのでTwitterにおける「片親パン」のツイート数(RT除く)の推移を調べました。以下は泥縄式プログラミング法によって書かれた半人力コードです。万一利用する場合はBearer Tokenとstart_time, end_timeの部分を任意に置き換えて…

あけましておめでとうございます

今年はよろしくお願いいたします id:opnihc

近世の成人年齢について

十五歳になった途端に大人になる? 近世では(数え)十五歳で元服を迎え一人前の大人として扱われるようになる、というのが通俗的な近世の成人年齢に対するイメージだと思われる。確かに、当時は階級・地域を問わず概ね十五歳で元服(或いはそれに準ずる儀式…

濫用され得る薬物の有害性を評価するための合理的な尺度の開発 〈私訳〉

大麻がどーたらの議論でよく見るコレ↓ 一体いかなる理屈でこの画像が生み出されたのか、後学のため出典の拙訳を載せておきます。 Nutt, David, Leslie A King, William Saulsbury, Colin Blakemore. "Development of a rational scale to assess the harm of…

全国学力テストの事前対策はなぜ許されないのか?

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221014/k10013858211000.html 先日、全国学力・学習状況調査(以下単に「全国学力テスト」と呼ぶ)において、石川県で「行き過ぎた事前対策」が行われていたことがNHKで報じられた。これに対するブコメの反応は二分され…

はてなコロッセオ

まえがき はてなブックマークコメントで気になる方がいればここに呼んでお話をする予定です(ブログからはIDコールが機能するので)。いちいち記事を書くのは面倒なのでお話は全てこのページにまとめることにしました。なお、議論後は次の方のためにコメント…

社会生活基本調査における在学生の学業時間推移について

ここでいう「学業」とは、「学校(小学・中学・高校・高専・短大・大学・大学院・予備校など)の授業や予習・復習・宿題 校内清掃 ホームルーム 家庭教師に習う 学園祭の準備 学習塾での勉強」を指す*1(令和3年社会生活基本調査 用語の解説 別表2)。なお、…

【メモ】ダンプカー規制の歴史的経緯について

この増田に同意するわけではないが、実際日本における(恐らくは海外も)交通規制は、実証的な調査に裏付けられた建設的な議論…ではなくして専らマスコミの扇情的な報道とそれに首尾よく煽られた市民感情によって推し進められてきたという経緯がある(それが…

石井光太 『ルポ 誰が国語力を殺すのか』におけるゆとり教育に関する記述について

ルポ 誰が国語力を殺すのか (文春e-book)作者:石井 光太文藝春秋Amazon同書では「ゆとりに至る道」「ゆとり教育の裏で何が起きていたのか」「社会が求める要求の肥大化」と三節にわたってゆとり教育が論じられているのですが、例によって例の如しだったので…

「先輩と青年は如何にして調和す可きか」, 1909, 大隈重信, 『実業の世界』6巻4号

現代の大問題 社会に於ける先輩と青年との関係は恰かも一家に於ける夫婦関係の如くなり。夫婦相軋轢すれば到底円満なる一家の発達を望まれざるが如く先輩と青年と相調和するにあらざれば完全なる社会の発達は期し難し而も今の先輩と青年との関係を見るに青年…

若者論の歴史・概略版 そして劣化言説へ…

まえがき 60・70年代の社会学的青年論 70・80年代の心理学的若者論 80年代半ばの若者論―新人類言説 90年代の若者論―劣化言説 2000-2010年代の若者論 2020年代の若者論 若者論の本懐とは 引用・参考文献 まえがき 若者論にはどこか牧歌的な雰囲気が付きまとっ…

ゆとり教育とは何だったのか―俗説に対する批判的検討 5.教育測定とはなにか・補遺

標準偏差 尺度の変換 項目反応理論 最尤推定 周辺最尤推定 テストの等化 有意性検定 標本平均のバラつき 平均点の差の検定 Linking Error Linking Errorの計算 標準偏差 標準偏差というのは,得点分布の「バラつき」のことである。たとえば100人が受験した平…

NHK世論調査部編, 『日本の若者―その意識と行動』, 1985年

NHK世論調査部が1985年に当時の若者(13~29歳)を対象として実施した、意識と行動調査の集計結果表です。いわゆる「新人類」と呼ばれた世代を対象としており、それはまえがきにおいても触れられているのですが、当時としてはまだ「なんか最近の若者は『新人…

若者論の構造③―若者論に反論できるのか(できない)

無理 前節までは日本における若者論の構造を概観してきた。それでは,若者論にはどういった反論が有効なのだろうか。結論を先に示せば,若者論に反論することは無理、或いは極めて難しいと言わざるを得ない。何故ならば,若者論が本当に求めているのは,他者…

教養とは

教養とは何ぞやみたいな記事がホットエントリに上がっていたので便乗します。そんなに難しい概念ではないと思うんですけどね、まあパパっと定義してみましょう。ただし、ここで定義する「教養」は、あくまで我々がこの言葉に対して抱いているイメージからつ…

日米開戦から50年 NHK/ABC共同調査

1991年12月は真珠湾攻撃によって日米開戦の火ぶたが切られてから50年目に当たる。これを機にNHK世論調査部は,太平洋戦争の認識,日米関係の現在・将来などをテーマに,アメリカ3大ネットワークのABC放送と初めての日米共同調査を実施した。今回の調査では,…

曽野綾子は二次方程式の解の公式を消したのか

より正確に表現すれば「曽野綾子は夫である三浦朱門に訴えてそれまで中学校で教えていた二次方程式の解の公式を高校へ移行させたのか」という問いになるが、結論から言えばしていない。ただし、このエピソードの出典である週刊教育Pro1997年4月1日号がどうに…

特定の語句を含む引用リツイートを取得する方法について

異常にバズったツイートについて、特定の語句を含む引用リツイートの数などを調べたい時に使います。APIキーとトークンは事前に設定しておいてください。なお引用RTのRT(分かりにくいな…)は除外していますが、含めたい場合は「#RTは除く」の箇所をコメント…

若者論の構造②―二極化する若者論

前回 依存・離れ言説 二極化・二面性言説 性の二極化言説 参考文献 若者論はありとあらゆる道徳的語彙といいがかり資源の組み合わせでつくられている。その必然的帰結として,若者論は常に一貫した体系を持っているわけではなく,しばしば若者論同士が矛盾す…

デマを訂正するコストについて

一般に、デマが拡散する容易さとは対照的にその訂正はきわめて難しいとされている。その主因の一つは、面白おかしい、衝撃的なデマ情報に比べ、訂正情報は往々にしてつまらないからである。しかも自らの誤りを認めることになるため、デマを拡散した主体は訂…

いまこそ活かせ “いま時の若いもの”の力 申すまじ“青二才”/高橋大将談

若い者は(判読不能)よくやつてゐる。こんどの戦争で若い人のほんとうの力をいくども私たちは見た、日本の歴史をふりかへつてみてもわかるごとく、歴史を創るものは常に若い人の力である〔…略…〕では銃後はどうであるか、(判読不能)維新の際御奉公の中心と…

私の立場について

これは今まで詳細に書いたことが無かった(必要とは思われなかった)ので、改めて書いてみようと思う。お疲れ様です。再び聞きますが「コミニケーションコスト」って知っていますか?あなたの言う通り、文科省が失敗したと多くの教員が思い込んだのであれば…

コミュニケーションスタイルの差異が説得効果に及ぼす影響について:円周率デマを例に

敵対的コミュニケーションの場合 まあ説得できるわけないよね、という話で終わるんですが、後学のための事例集です。 今年の円周率の日は前日にワクチン接種を受けたこともあり、デマの訂正はbotに任せる予定だったのですが、いつの間にやらbotが止まってい…

一体われわれは何を見ているのか

イギリス首相を注目している人たちのうち、英語を読むことのできない人が何百万もいる。文字は読めても理解できない人がさらに何百万もいる。読みも理解もできる人たちのなかでもゆうに四分の三の人たちが、この言葉のために一日三十分以内しか使っていない…

Wikipediaの学力低下が酷すぎる件について

※文字通りです。以前、Wikipediaの「学力低下」のページが酷いという記事を書きました。 問題点は既に修正したのですが、何が酷かったのかと言えば全く架空の調査結果が捏造されていたことです(そしてそれが学力低下の"証拠"とされていました)。詳細は上掲…