若者論を研究するブログ

打ち捨てられた知性の墓場

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鈴木雄介さんについて

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茂木さんもたまには良いことを言うなと記事中引用されていた当該ツイートとそのリプライ欄をぼけっと眺めていたら

明らかにヤバい奴がいた。この後も怒涛の連投を続けていたので以降は割愛するが、察するにまあ茂木健一郎の熱心なアンチらしい。それはいいのだが私が興味を持ったのは「若害の無教養ぶりをもちあげ日本人中年男叩きで社会的弱者迫害するのは亡国を早めるのみ」という教養溢れるタイトルが付けられた記事の方だ。読んでみたがタイトル以上の情報量が無かったのでこれも詳細は割愛するが、何やら「ゆとり世代」に一家言を持っていそうな雰囲気を感じたの早速ブログの検索欄で「ゆとり」と入力してみる。

これは凄い…彼の「ゆとり論」については追々紹介することになるが、中でもずば抜けているのが2017年10月25日に投稿された『平成批評』というポエム(揶揄的意味ではない)である。このポエムから「ゆとり」に関連する部分を引用しよう。

中東や極東に送るゆとり兵しねば儲かる米国軍産

シールズがゆとりの中の良心を代表しつつネトウヨが侮蔑

ゆとり脳社畜や徴兵させられつ差別よろこび搾取に服従

ゆとり脳戦争求め和平憎みひたすら群れて悪者になる

シールズをファッション左翼というのならゆとりは無益な戦場にてしね

若害の求める侵略社畜の生やはりゆとりと暮らすのは地獄

格差下で経済しらず社畜して果ては徴兵されるゆとり脳

ゆとり脳無知で暗愚で悪意ゆえ日本のがんの世代とぞおもう

日本国ゆとりは暗愚極悪人政府も企業も腐敗極める

シールズはゆとりで唯一善意ある平和尊ぶ有志とぞ見る

なんという愚かなゆとり若害かこれでは果ても奴隷にすぎざり

ゆとり脳おのれが勝者と妄信す低知能はみな滅ぶが競争

ゆとり脳若害やがて総負けし社民主義なる北欧憧る

ゆとり脳競争を舐め勝てるなど思う市場は絶滅地獄ぞ

若害のゆとりは戦場不条理を知らず勝てるとや思い込む愚ぞ

若害のゆとり脳では落ちぶれて東大ランクも46位ぞ

ゆとり脳右翼を正義と取り違え革新せずに後退し威張る

なんという愚かなゆとり若害かここは地獄か野蛮なる国

極悪のゆとり若害右翼ども侵略戦争求め国売る

極悪のゆとり若害右翼ども格差拡大求め民ころす

われ思うゆとり若害極悪性きっと日本を亡ぼすであろう

若害のゆとり脳では侵略で反撃されぬと妄想の戦

防衛と侵略の違いすら知らぬゆとり若害救いようなし

退化するゆとり若害もどりゆく72年前の戦禍に

われの見る未来は平和なるゆえにゆとり若害の国は嫌なり

なんという劣悪な民か日本はゆとり若害右翼は情弱

ゆとりども全盛期になる2040日本は一気に衰亡するであろう

ゆとり脳サブカル洗脳マスコミで完全に暗愚若害完成

なんという論理思考の足りなさぞゆとり若害本物の悪

愚劣なるゆとり若害のさばれば確実に終わる日本を抜け出せ

途上国未満の民度ゆとり脳10年後には日本は沈没

ゆとり脳若害極め劣悪な判断重ね国は亡びぬ

これどうなんですかね。触れていい人なんですかね。まあこういう人が増えてくれると楽っちゃ楽かもしれません…2000年代のネットを席捲したいわゆる「ネット右翼」と呼ばれる人たちが今は一転して馬鹿にされる側に回っているのは、何もネット民のリテラシーが向上したとか調査研究が進んだ結果だとかではなく、単に彼らの振る舞いが明らかに常軌を逸しているという点が大きいからでしょう。後は名前ですね、「ネトウヨ」という言葉が発明されなければ彼らもここまで勢力を縮小することは無かったろうに。

閑話休題。ここまでの傑物は近年お目にかかったことが無いので一体何者だろうかとプロフィールを確認すると

鈴木雄介(すずき ゆうすけ、1984年 - )は、日本の芸術家(画家、彫刻家、著述家、音楽家、写真家、デザイナー、書家、ゲームプログラマー)、哲学者。茨城県北茨城市生まれ。同市在住。

お前ゆとり世代やないかい…それも割と真性である。詳細は以下の記事に書いているので参照してほしいのだが、基本的に「ゆとり教育」や「ゆとり世代」という用語は教育界においてすら統一された定義はない。それでも「(2000年代の)ゆとり教育」前後に実施された教育調査の結果やそれに対する調査者達の解釈、或いは「読書離れ」や「性的放逸」…等々の一般に信じられている(少なくとも鈴木氏は信じている)「ゆとり的特徴」から敢えて「ゆとり世代」なるものを同定しようと試みるならば、正に鈴木雄介世代こそが「ゆとり世代」そのものということになる。

hajk334.hatenablog.jp

もしかすると物江潤氏(1985年生まれ)のように「ゆとり世代」を自認した上でゆとり批判をしている*1のではないかとも思ったが、ブログを読むに別にそんなことはないらしく自分たちの世代とゆとり世代との間には隔絶した違いがあるらしい。

というわけで、以下は鈴木氏の「ゆとり論」の検証、ひいては鈴木雄介さん世代こそがむしろ彼の言及する「ゆとり世代」の特徴に合致してしまうことを確認し、そしてこの記事を読んだ鈴木氏の反応を記録していきたいと思う。

 

 ゆとりは本を読まない

若者とは思えない日本人達までこの有様なのだから、本もほぼ読まない、ネットで高度な内容読んでるとも思えないゆとり世代の若者一般がもっと同調圧力で群れる為に群れ、あらぬ方向へマスゲームやってても何の疑問もない。

ゆとり教育世代の読書率は致命的なくらい下がっているわけだけど、本当にやばい。
これまでの常識ではありえないくらい文章が読めない、日本語が読めない、文脈や文意が読み取れないという人が20代以下、とっても増えている。

ゆとり教育が「偏見」だと思ってる人は多いだろうけど、本を1度も読んだことがない、とかいうゆとり世代の短大卒の人と会話してみるといい。

 日本全体の単位では、色々若者ら見た感じもう手遅れだと私は思いますし、脱ゆとり世代も『荒野行動』だのティクトクだのばっかやってて全く本とか読まないですし、PCすら使えないほど悪い意味でますます東京京都風俗サブカル消費するだけの末期ローマ民になる同調圧力かけあってるともいえるでしょう。

いわゆるゆとり教育の失敗、これはその世代の一部と標本抽出みたいにかなりのサンプル数と「できるだけ反証的に」接した限り、本当の話だった。まず本を全然読まなくなっていてネットでも長文読まない上に、幼稚園児レベルのアニメを本気で見ている人達が多い。

 

若年層の読書習慣については学校図書館協議会と毎日新聞が『学校読書調査』として半世紀以上にわたり共同で実施している。それによれば小中高校生の不読率の推移は以下のようになっている。

 

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以上である。ちなみに鈴木世代が記録した中学生不読率55.3%という数字は調査開始以来最高の数値であり、恐らく今後も抜かれることは無い不滅の金字塔である。これは「(2002年)ゆとり教育」を軸にして見ると大変に面白い結果だ。ゆとり教育実施5年前(1997年)と5年後(2007年)の結果を比較すると、小学生で10ポイント、高校生で20ポイント、中学生に至っては40ポイントも不読率が減少している。特に中学生の不読率14.6%という数値は調査開始以来最も低い数値である。

以下の記事では「読書離れ」と関連したその他の読書調査についても簡単に説明しているので参照していただきたい。

hajk334.hatenablog.jp

 

ゆとりは勉強しない

ゆとり世代の大部分を形作っているネット右翼ら(以下、ゆとり若害と略す)が愛国主義者や保守主義者といった同国多数派と彼らが目す衆愚に偽装し虚栄心を補強しようとするのは、怠惰で不勉強な彼らに自己効力感が欠けているから

ゆとり世代一般は不勉強なだけでなく日本文明への邪心で最悪政治の独裁者安倍晋三首相を支持している

私ははたちくらいの頃、神の様な全知に到達する目標を立てて、毎日猛勉強してきました。私はその意味で詰め込み教育的な価値観を体現した最後の代表者の一人といっていいと思います。

より正確にいうと、ゆとり教育を受けた世代(1987年4月2日~2004年4月1日生まれ。現32~15歳)と、それ以上の詰め込み教育を受けた世代の学力水準の落差が、その種の若者の保守化にみえる心理現象の一因と思います。

僕は詰め込み教育の最後の頃の世代(1984生)なのだが

総務省統計局が5年に1度実施している『社会生活基本調査』では学生の学業時間が調査されている。それによれば1986年から2016年の高校・大学生の学業時間は次のように推移している。

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鈴木世代が記録した高校生の1日あたり学業時間321分という数字は調査開始以来最低の数値である。この90年代に起こった「勉強離れ」こそ苅谷剛彦や耳塚寛明らの教育学者が「ゆとり教育の弊害」として指摘していたことなのだが…ちなみに社会生活基本調査における2000年代半ば以降の学業時間の増加傾向はベネッセの『学習基本調査』でも確認されており、それを耳塚を含む調査者達が「ゆとり教育からの脱却」と解釈したことは上掲の記事の通りである(正体不明の「ゆとり教育」)。

 

ゆとりは純愛を知らない

醜い恋愛というのが、ゆとり世代の一部の流行なんだろうか? 多分、損得勘定を純愛より優先している所が醜悪なんだろうな。段々わかってきた。彼らゆとり世代の一部の損得愛は、異性を寄生か自分の箔付けかどちらかの目的でしかみていないのだ。それは我々の知っている恋愛や純愛では全然ない。

第一に自己利益のため相手を利用する目的しかなく、第二にそこに性欲のあけすけな表現が加わっていて、しかも周りの下衆なゆとり同世代人に自慢する為にそうしているところが醜悪なのだ。このどちらも旧来みたことがない状態で、しかも大変に退廃したサルもどきの情痴なのだ。

ゆとり世代の一部の中では、男性が自分を飾る道具か、ただのATM的な寄生先、または女性が性欲を満たす使い捨ての道具化されている。しかもこのことを当人達は恥じる気配がなく、当然だと思って周りにもそうしなよ、とかいっている。ものすごく軽薄かつ心の通っていない単なる自慰道具扱いの様な物、或いはすさまじく愚かで同情の余地のない見栄の張り合いが、ゆとり的損得恋愛の実情の様だ。

一方で、ゆとり男の世界観では、女は使い捨ての性欲処理係という扱いが当然視されている。セフレ(sex friendの略で、交尾友達)といい、とかく多数の女をはべらせようとし、誰か一人を愛することは絶対にない。

このゆとり的損得恋愛の2つの事実、「女に貞徳なく、男に純情なし」を聞いただけでいかにこの国が末期的な退廃に包まれているかがわかりそうなものだ。自分が眺めていて嘔吐感がとれないのも当然だ。

結局、ゆとり的損得恋愛劇場の中では、眞子が実に一番ましな部類なのである。佳子のせりふをみてもそのことに全然疑問をもっていないのがわかる。それほどゆとり教育というのは、他世代に比べその世代の人達の知能を劣化させてしまったということなのだろう。サルより醜い恋愛なんてみたことなかった。

というわけで、若年層の性的価値観に関する統計を見てみよう。以下に示したのは第6回青少年の性行動全国調査の結果である。当該調査は2005年に実施されたため、グラフ中の高校生はほぼ「ゆとり世代」に、大学生は「鈴木世代」に該当する。

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以上である。この結果は世代の効果よりも年齢の効果が主因となっている可能性もあるが、参考までに第7回調査(2011)では大学生の性交経験率が調査開始以来初めて減少(女子:61.1→46.8%, 男子:61.3→54.4%)したことを付記しておく(逆に言えば大学卒業時点では鈴木世代が史上最も性交経験率の高い世代ということである)。

 

以下は鈴木世代との比較ではなく、単に鈴木氏の「ゆとり」に関する誤りを列挙していこうと思う。


ゆとりはネトウヨ

更に低教育・低公徳な衆愚である右翼やゆとり若害を啓蒙し直すにも、凄まじい手間が要る。自民党閥が運よく一掃されたとしても、これらゆとり世代の公害や、右翼一般の低民度さには多大な再教育費がかかるのだ。

右翼全般、そしてゆとり若害一般は亡びと不幸のどん底への大きな門を通り、赤信号の元を大上段に構え衆愚となって闊歩しているのに違いない。

なんという劣悪な民か日本はゆとり若害右翼は情弱

この分析結果をみると、二十代に比べると四十代以上の方がネット右翼に、四十代・五十代のほうがオンライン排外主義者になりやすい。つまり、ほかの要素―社会経済的地位や政治的・社会的態度、各メディアの利用の程度など―が同じなら、若年層よりも中高年層がネット右翼や排外主義者になる可能性が高い。(p.32)

これは著者達が2017年に実施したアンケート調査に基づき、「ネット右翼」を目的変数とした多項ロジスティック回帰分析を行った結果である。結果として年齢が「ネット右翼」の決定要因として学歴や年収、就業形態(正規―非正規)よりも大きな効果を持つことが分かっている。ちなみにネット右翼の分布については年代別でさほど大きな違いはない。20代から70代の内、最もネット右翼が多かったのは40代の1.8%, 最も少なかったのは20代の1.2%である。

 

ゆとりは知能が低い

若害の知能驚くほど低くわれは日本の大凋落予知す

上記ゆとり世代一般には、他世代一般に比べた低学力化に伴う批判的思考の欠如と、精神年齢そのものの低下による反抗期の遅延が見られるのだろうと思います。

余りに知能が低いと、学歴差別とか大企業差別、所得差別、資産差別、地域差別の様な、不躾で単純な階級差別に陥り易い。このこともゆとり世代の人達を一般的に観察しているとよくわかる。

フリン効果により日本人の知能は上昇し続けている。これは別に隠された事実でも何でもなくWISCやWAISのマニュアルを読んでいれば当たり前のように記載されている。ちなみに良くネットで「世界の知能指数ランキング」のように知能指数の低い情報が出回っていることがあるが、あの手のランキングは全てRichard LynnとTatu Vanhanenが行った一連の研究に基づいている。何故かあのランキングを見てどこにも書かれていない「ゆとり世代の知能低下」を見い出す人がたまにいるのだが、実はあのランキングからもゆとり世代の知能が上昇していることは確認できる。詳細は以下の記事を参照してほしい。

hajk334.hatenablog.jp

 

ゆとりはPISA成績が低い

既にゆとり教育は終わったから、後は生涯学習の中でその世代の教養水準を自ら高めるしかないのだろうが、知られているよう国際学力テスト成績(PISA)の結果からみるとゆとり世代だけ他世代より成績が悪化していた。令和世代はそれを反例にし、最初から真理探求という本来の目的で学問を学んでほしい。

hajk334.hatenablog.jp

上の記事では閲覧者の知性を信頼して敢えて論文の引き写しなどはせずに手ずから説明しているのだが、それでは納得できない権威による保証が欲しいんだという方は以下の論文を参照してほしい。川口俊明先生は日本では数少ない教育測定の専門家であり、袰岩晶先生は実際にPISAの設計・実施に携わっている当該調査のエキスパートである。高山啓太先生は長年海外で活躍された教育学者であり一昨年からは京都大学に勤められている。いずれも「PISAショック」と呼ばれた現象がデータの誤解釈によるものであることを説明している。

国際学力調査からみる日本の学力の変化

大規模教育調査とエビデンスに基づく政策 PISAと「ゆとり教育」の関係について
The politics of international league tables: PISA in Japan’s achievement crisis debate

 

疲れました…誰だよこんなモンスターを生み出したのは。このブログは副題通り他者からの評価を意図したものではありませんが、今日ばっかりは誰か同情してくれませんかね…コメントだかブックマークだかスターだかをお願いしますよホント。

 

追記

特に反応はありません。

*1:実際は『だから、2020年大学入試改革は失敗する――ゆとり世代が警告する高大接続入試の矛盾と落とし穴』というタイトルに反して、同書では「ゆとり批判批判」にそれなりの分量がさかれている。