若者論を研究するブログ

打ち捨てられた知性の墓場

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すももさんの思い出

すももさんの主張

ところで

2000年代半ば以降少年犯罪が急減していることはすももさんの指摘する通りである。ところで、少年犯罪の大きな特徴の一つはそれが専ら男子によって行われるということである。少年による刑法犯検挙人員の女子比率は90年代後半に25%に達したのが過去最高であり、以降は減少は続け現在は10%強程度に留まっている。

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つまり、すももさんが相関を主張している精神的脆弱性もまた男性に生じているはずである*1すももさんが引用している国民性調査ではメンタルヘルスと関連がありそうな設問が三つ置かれている(「#2.80a 病気 頭痛」「#2.80c 病気 いらいら」「#2.80d* 病気 ゆううつ」)。それぞれ見ていこう。

すももさん…?

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それぞれの設問に対し「あり」と答えた割合をグラフにしている。見ての通り、その傾向は男女で大きく異なっている。というより、全ての設問で女性が前回調査と比較して増加しているのに対し、男性は全ての設問で前回調査と比較して減少している*2。すもも式集計表では綺麗に右肩上がりに見えた「脆弱な若者」の増加*3も男女別に見てみればご覧の通りである。

すももさんの反応

と、いったこと(これだけではなく別ツイートでも色々と国民性調査の結果を弄りまわしていたが面倒なのでここでは割愛する*4)をすももさんに伝えた際の反応が以下である。

ああ、20代女性のデータの印象で書いてました。

— すもも (@sumomodane) July 25, 2019

ちなみにこのツイートは5分で削除された。何故削除されたのか2年越しに聞いてみたのですももさんからの返信があればここに追記する予定である。

*1:当たり前だが少年犯罪は男子でも激減している。平成10年の10万人当たり検挙人員は男女それぞれ2,471.5人, 885.9人、令和元年ではそれぞれ495.5人, 86.7人に減少している。減少の内7割が男子による減少である。

*2:#2.80e 病気 不眠症については社会生活基本調査でその実態が明らかな為ここでは除外した。詳しくは以下の記事を参照してほしい。スマホ依存による若年層の睡眠不足について - 「趣味は若者論です」

*3:当然だが以上のデータは「脆弱な女性」の増加を意味しない。たとえば自殺率の増加が男性の生き辛さの証拠として喧伝される一方で、若年層に対してはむしろ精神的脆弱性の証拠として扱われるようにその解釈は融通無碍である。

ちなみに、良く知られている通り20代の自殺率は2010年以降減少している。近年ブームとなっている子供の自殺率の増加については以下の記事を参照してほしい。子供の自殺にいちいち騒ぐな - 「趣味は若者論です」

*4:たとえば、別のツイートでは若者が他者を警戒するようになったとしているが、「#2.12b スキがあれば利用されるか」では「利用しようとしている」と回答した20代女性は前回調査から12ポイント増の31%となっているのに対し、20代男性は前回調査から18ポイント減の22%となっている。すももさんがまとめている「若者の変化」は男性のみに見られる傾向、女性のみに見られる傾向、傾向を無視した単年度の比較によるものが含まれている。